スキの魔法
「そーいえば侑志。どうしたの?」
「…は?」
「だって今日。“綾華チャン”の為に、休んだんでしょ?」
……相変わらず鋭い。綾の名前を強調してるあたり、コイツは分かってる。
俺は“休む”としか言ってないのに。
綾の熱の事は先生から聞いたとしても、綾の熱と俺の欠席が繋がっているのが分かるなんて…。
そう言う所だけ何故か鋭い大稀。
「…別に」
「ふーん。侑志さ、まだ自分の気持ちに気付いてないの?」
……は?自分の気持ち?
……何だよ、それ。
「まぁ、いずれ分かるよ。俺が教えたって意味ないし。ちゃんと自分で考えて。じゃあ、またな!!」
ブチッ―――。
電話が切れて、俺は携帯を閉じた。