女好き彼氏








「もう夕方だよ……」


「あ。そだね」


アハハッと笑うてるちゃん。


別に夕方に「おはよっ」って言われても気にしないけど……。


苦笑いを浮かべるあたしをほったらかしにして
てるちゃんはにこにこの笑顔で
あたしに質問してくる。



「ねぇ、玲ちゃんは?」


「あぁ……玲は、風邪で休み」


「そうなんだ。珍しいね」


てるちゃんはほんとにビックリしたと言う表情であたしのことを見ていった。



うん。
玲が風邪なんて珍しいよ……。


風邪なんてめったに引かないのに……。


大丈夫かな。


そんなことを勝手に考えているあたしをまたほったらかしにして
てるちゃんは、
『職員室行かなきゃだから言ってくる!』とか言って
謎に気合いを入れて廊下を走っていった。



あたしは手を振りながらてるちゃんを見送り
また一人で考え事をしながら
廊下を歩き出した。


ふぅ……
ほんとに玲大丈夫かな…


熱とか風邪とか引かないから
やっぱり心配だよ……



なんて玲のことを心配しながら廊下を歩いてると
前の方からあたしを呼ぶ声がする。


一人……。


じゃない…………。


二人?


あたしを呼んでる。





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