女好き彼氏
「聖斗……」
あたしは息を荒くした聖斗の手を優しく握った。
「なんでそんなに息が荒いの?」
少し笑って聞く。
きっと今のあたしの笑顔は苦笑いになっているに違いない。
「美夜を…探し…てたから……」
息が荒いせいか途切れ途切れに言う聖斗。
その聖斗の表情はちょっと気まずそうで……
あたしたちから目をそらす。
「そっか………ありがと」
とにかくあたしは笑みを浮かべて聖斗にそう言った。
なるべく、自分の動揺が誰にもわからないようにして……
そしてあたしは後ろにいる星野くんは何も言わない。
そのことにあたしの心はズキッと傷んだ。
諦めるって………
あたし、決めたんだもん。
あたしは痛む自分の心をかき消したくて
心の中で首を横に振る。