女好き彼氏


近くで聞こえた光太のため息で
あたしはやっと星野君から視線をそらすことが出来た。



「あんなの見るな」


そう言って光太が差し出してきたのは
あたしが好きなりんごジュース。



光太、あたしがりんごジュース好きって
覚えててくれてんだ。


たったそれだけのことで
余計に涙がこぼれ出す。



ポロポロポロポロ……


あたしの瞳から綺麗に地面に落ちていく涙。



光太がそんなあたしを見て
頭を優しく撫でてくれて

『こんなとこから早く離れよう』


って、いつも以上に優しくささやいてくれた。



あたしは言葉が出ずに
自分の頭を上下に動かす。


そんなあたしを見てから
光太が無理矢理あたしにりんごジュースを持たせると
手首を掴まれてぐいぐいとこの場から早く逃げ出したいかのようにひっぱっくれる。



それでもあたしの涙は止まらなくて

泣いても泣いても

溢れてくるのはあなたの
あたしを見る瞳と自分の涙で……










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