女好き彼氏



そして、先生の口が動いた時、
俺の身体もビクッと動いた。



「人の眼鏡を壊しといてよくそんなこと言えますね?星野 悠雅君……」



先生に名前を呼ばれた時



全身の血が凍りついたみたいな感覚になった。



それぐらい



恐ろしく低く鋭い声をしていたんだ。



「そんなムカツクこと言うならこの眼鏡直してくれますか?」



悪魔の笑みに敬語の言葉がより一層恐怖を感じさせる。



先生が床に落ちているレンズが割れてぐちゃぐちゃになっている眼鏡を指差した。




俺は先生の指先を見てから眼鏡に視線を向けて重たい唇を開けた。



「こ…この眼鏡ってどれぐらいの値段なんだよ?」



見るからに高そうなその眼鏡。


10万円ぐらいするんじゃないか?



まぁ
眼鏡でそれはあり得ないんだけど……


ってか俺、無意識にこの人の下になってしまっている。

な、なんか自分が情けない………。









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