女好き彼氏
そう言うわけじゃ……ないけど。
「……別れよ」
戸惑っているあたしに浴びされた冷たい言葉。
今まで氷つきそうだった心がもう氷のように冷たくなった。
「な……んで?」
「別れたい」
「どうして?」
あたしの頭に浮かぶ言葉はこの2つしか出てこない。
『なんで』『どうして』
分からないよ。
星野くんの小さなため息が聞こえた。
「……疲れた」
……疲れた?
「だから……」
嫌……。
言わないで。
これ以上……何も言わないでよ。
「バイバイ、美夜」
無表情のまま美術室を出ていった星野くんの最後に言った言葉。
『バイバイ、美夜』
バイバイと言う言葉が鉛のように重くて
美夜って名前を呼ばれた時は
熱くあたしの心に焼き付いた。