君には、絶対に…

プロローグ

「何か…あったのか…？」

「何かあったかって…？お前、とぼけてんのか…？」

今年最大級の台風１６号が神奈川県に上陸した。

その影響で、激しい豪雨、暴風に見舞われている中で、ある事件が起こっている。

その事件は、今まで大切にしてきたものが壊れてしまうほどの事件だ。

「逃げた連中が言ってたぞ！！“お前も共犯だ”って！！」

共犯だなんて信じたくない…。

だからこそ、言ってほしい。

“そんなわけないだろ！！”

そう言ってほしいと思っているのに、何の言葉も聞こえてこない…。

それは、豪雨と暴風の影響で、声が聞こえないわけじゃない。

わずかながら見える視界の中で、ずっと顔を見ていたけど、口元すら動いていないんだ…。

「違うんだよな…！？違うんだよな…！？お前は関係ないんだよな…！？なぁ！？そう言ってくれよ…。頼むから…お願いだから…そう言ってくれよ…！！」