君には、絶対に…
２月１２日。
今年のバレンタインデーは日曜日だったから、今日雪乃ちゃんは渡すことにしていた。

とりあえず、朝渡そうっていうことになっていたんだけど、俺も早く来てって言われたから、バスケ部の朝練が始まる時間に学校に来ていた。

「さすがだな…。予想以上だわ…。」

俺が体育館の前に着いた時、体育館の入り口に群がる女の子の集団が目に入ってきた。

その集団から少し離れたところでポツンと立っている女の子が目に入った。

「あ、雪乃ちゃん！おはよう！」

俺が少し駆け足で駆け寄ると、雪乃ちゃんの表情は少し険しくて、テンションも下がっているようだった。

「やっぱりね…。こんな感じなんじゃないかなって思ってたんだよね。」

雪乃ちゃんは少し引きつった感じで笑っていた…。

そして、手に持っていた袋、たぶん、睦のために作ったマフラーが入っているだろう袋を握る手が震えていた…。

「私さ、競争とか苦手だし、勝てる気がしないんだよね…。」

雪乃ちゃんの目線はずっと女の子の集団を見つめたまま、すごく切なそうな目をしていた…。

そんな雪乃ちゃんに、俺は何て言葉をかけたら良いのか分からなくて、黙って横に立って色々考えていた。
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