君には、絶対に…
「あ…ありがとう…！」

俺は動揺しながらも、彼女の手からシャーペンと消しゴムを受け取り、何とかお礼を言った。

俺の言葉を聞いた直後、彼女は何も言わずに、俺の目を見てニコッと笑う。

その瞬間、今までに感じたことのない感情を感じた…。

彼女の瞳から目が離せなくなりそうになる反面、見つめられているだけで、顔が徐々に熱くなり、すごく恥ずかしく感じる…。

今までにないぐらい照れていることも分かるし、自分の心臓の鼓動が、まるで全力で走っている最中かのように、ものすごい速さで動く…。

そんな自分に戸惑い、俺はすぐに前を向き、彼女に背を向けた。

俺は彼女から借りたシャーペンと消しゴムを使って、１時間目の試験を受けていた。

昨日猛勉強した甲斐あって、問題をスラスラ解くことが出来て、何度も見直したけど、試験時間が余った。

試験が終わるまで暇だったから、いつものように窓から見える空をボーっと見ながら、無意識に彼女から借りたシャーペンを手に取った。

シャーペンを見た瞬間、彼女の笑顔が俺の頭を過ぎる。

何だろう…？この感覚は…。彼女の笑顔が頭から離れない…。
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