君には、絶対に…
俺は絡まって転んでしまいそうな脚を必死で動かして、コートを走り抜けた。

そして、レイアップをしようとジャンプした時、いつものように放とうとしていたはずなのに、無意識にいつもより速いテンポでボールをリングに向けて放り投げていた。

『ブーーー！！』

レイアップを放った直後、耳鳴りのするほどの大きな音で、試合終了のブザーが体育館一体に鳴り響く。

それと共に、俺は着地出来ず、コートサイドに勢い良く流れ込んだ。

流れ込みながらも、俺はすぐに自分の放ったシュートが入ったのか確認するために、頭上のリングを見上げてみると、ボールはリングの上をゆっくりと回っていた。

「入れ！入ってくれ！！」

静まり返る場内で、俺は１人声を張り上げる。

俺の気迫に押されたのか、ボールはリングに吸い込まれるようにして、ゆっくりとリングの中を通過した。

俺のシュートが入ったことで、試合終了ギリギリのところで追いつき、５分間の休憩の後、５分間の延長戦が行われることになった。

しかし、５分間の延長戦は、さっきまでの接戦ムードとは打って変わって、勢いに乗ったうちのチームが相手チームを圧倒し、終わってみれば、５０対４２で勝つことが出来た。
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