君には、絶対に…
「右足、相当やばいんじゃないの?」

「え…?あ、いや!?全然大丈夫!!」

「これでもバスケでも先輩だし、それに、汗、尋常じゃないよ?ね?雪乃ちゃん?」

未来ちゃんの言葉を聞いて、今井さんも心配そうに頷いていた。

今の自分の異変に、みんな気付いているのかも知れない…。

心配なんてかけたくないのに…。

「良い?時間がないから、とりあえず用件だけ言う。今の洋介君じゃドライブは無理。たぶん、今度強引にドライブしようとしたら、もう右足動かせなくなるよ。だから、これからは3Pを打ちなさい。」

「3P?」

「そう!今洋介君はドライブしてこないし、シュートもしてこないと思って、相手は洋介君のパスだけ注意してるの。だから、パスをもらったら、すぐ3P打ちなさい。そうすれば、オフェンスはどうにか出来るから。」

確かに、未来ちゃんの言う通りだ。

今俺がオフェンスでボールをもらっても、相手は俺に大したディフェンスはしてこない。

だから、ほぼフリーな状態ではある…。

「俺、3Pの練習なんてしたこと―――」

「大丈夫!洋介君なら出来る。右足で少し踏ん張らなきゃいけないけど、ドライブするより両足で踏ん張れるから、多少は楽に出来るはず。それに、やれば色々変わってくるから!ディフェンスは将人君に任せなさい!」

未来先輩がそう言った瞬間、コートに入るように主審に言われて、俺はそのままコートに入った。

今まで3Pなんて放ったことないし、練習でもしたことがなかった。

入る自信なんて全く…ない…。

入るどうこう以前に、シュートが届くかどうかさえ微妙なところだと思う…。

でも、今やれることはそれぐらいしかない…。

中に入ってジャンプシュートっていうのも出来ないし、パスだって捌けない。

このままじゃ本当に足を引っ張っているだけになってしまう…。

ただ、俺に3Pなんて放てるのか…?
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