君には、絶対に…
「3P!?」

前半・後半含めて、ほぼシュートを放たなかった俺がシュート体勢に入ったことに、敵味方関係なく、驚きの声が聞こえる。

でも、俺はそんな言葉に惑わされずに、そのままシュートを放った。

未来先輩が言っていたように、ジャンプする際、両足で踏ん張って跳べる分、中に切り込むドライブとかをするよりも楽に感じるし、痛みもドライブよりは感じない。

ただ、問題はそこじゃない。

放ったシュートが入るか入らないかが重要なんだ。

俺は指先から離れたボールを目で追いかけながら、着地した。

俺の指先から離れたボールは、低い弾道で、一直線にリングに向かっていた。

『ガンッ!!』

「リバウンド!!」

俺の放った3Pシュートはリングに弾かれた…。

あと数cm奥に行っていれば、ボールはリングに吸い込まれていたのに…。

落ち込みかけていた俺を他所に、将人がリングに弾かれたボールを空中で叩いて、そのまま押し込んでくれた。

「まさか、3Pに行くとは思わなかったよ。ナイス判断!」

後半が始まってから、5分近く経って、ようやくシュートが入ったことで、将人は少し笑いながら、俺の尻を叩いた。

でも、そんな言葉をかけられたって、何も嬉しくない。

シュートは決められなきゃ意味がない。

ただでさえ、10点もリードされている状況だから、シュート1本を外して、チャンスを無駄にするのは、命取りになる。

それに、手っ取り早く点差を詰められる3Pがフリーで放てる状況なんだから、入れなきゃいけないシュートだった。
< 54 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop