君には、絶対に…
俺が3Pを放ってから、うちのチームには、徐々に良い流れが来始めた。

それとは対照的に、相手のペースが乱れ始めていた。

“色々変わってくるから!”

ハーフタイムの時、未来先輩が俺にそう言った意味がよく分かった。

さっきまで、ほぼフリーな状況だったのに、俺が3Pを放つと思った俺のディフェンダーは、俺をフリーにしないように、とことん付いてきた。

その結果、俺は楽に2人にパスが出来るようになって、得点しやすくなった。

睦と将人へのディフェンスも楽になり、動きやすくなったことによって、点差はどんどん縮まり始めていた。

残り5分弱で8点差もあったのに、残り2分を経過する時には、うちが4点差つけていた。

「3Pを放つタイミングが本当に良かった!あれで、一気に流れが来たな!」

終わってみれば、44対36で、うちのチームの勝利で終わった。

試合が終わって、荷物を片付けながら、将人はそう言って、笑顔で俺に接してくれたけど、俺は笑うことなんて出来なかった。

4本ぐらい3Pを要所で放って、1本もネットを揺らすことが出来なかった…。

全部将人がリバウンドを取ってくれたから、結果的に良い流れは来たけど、将人がリバウンドを取れていなかったら、負けていたかも知れない…。

そう思うと、決して納得出来る試合内容ではない…。

「勝てて良かったけど…。前半のままだったら、負けてたかも知れないし…。」

「まぁまぁ!元気出せよ!とりあえず、あと1試合!あと1試合だけ勝てば優勝だぜ!?洋介には負担かけないように、どうにかするからさ!テンション上げていこうぜ!」

俺がため息混じりに話すと、睦は俺の左肩を軽く叩いて、いつものように笑顔で話してくれた。

そのおかげで、少し良い方向に考えることが出来た。

3Pは入らなかったけど、パスは捌けたし、何より、あまり動かずに済んだことで、右足の震えが治まっていた。

この現状を良い方向に考えれば、試合は何とか勝てたし、右足の震えは治まったのは、結果オーライだったようにも思える。
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