君には、絶対に…
「え?えぇ!?」

「伊原君、痛かったら言ってね?肩貸すから!」

そんな俺を他所に、今井さんは至って普通に、笑顔で話した言葉に、俺はさらに驚いた。

この嬉しい驚きは、試合が終わってから、絶え間ない痛みを感じる右足の痛みさえ、ぶっ飛んでしまいそうなほど、嬉しくて堪らない。

ただ、体は正直で、時間が経てば経つほど、痛みが和らぐどころか、増す一方だった…。

「じゃ、じゃあ…悪いんだけど…よろしく…。」

いきなりの出来事だし、こういう展開で、今井さんと一緒にいることになったのは、本当に動揺している。

でも、未来先輩と睦が、言い回しは最悪だし、やり方も最悪だけど、少なからず、俺に気を遣って、今井さんと一緒にいられるようにしてくれたんだ。

これを無駄にしちゃいけないと思った。

だから、顔は渋々って感じだったけど、2人の厚意に少し感謝しつつ、座っていたソファーを立ち上がった。

立ち上がった瞬間、試合中に感じていたピリピリとした痛みを激しく感じ、ただ立っただけなのに、すぐ右足に力が入らなくなって、その場でよろけた…。

「ちょ、ちょっと!大丈夫!?洋介君!?」

「だ、大丈夫!?伊原君!?」

未来先輩が驚いた声で立ち上がる中、そんな俺の右肩を掴んで、今井さんが瞬時に支えてくれた。

思っている以上に、結構やばい状態なんじゃ…?

そんな焦りを感じずにはいられない…。

こんなに痛んで、立っているのもやっとなんていう状態に、戸惑いを感じていた…。
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