君には、絶対に…

【悲しき協力の始まり】

「マジかよ~!雨降っちゃってるよ!最悪だな…。」

閉会式を終えて、体育館の外に出てみると、朝はすごく晴れていたのに、今は地面を強く叩きつける雨が降っていた…。

この光景は、まるで、今の今井さんの心境を表しているような気がして、俺の心は締め付けられた…。

「とりあえず、ダッシュで帰るわ!じゃあ、今日はお疲れ!」

「あぁ…お疲れ…。」

笑顔でそう言って、走り出そうとする睦に対して、俺は笑顔で言葉をかけることなんて出来なかった…。

今井さんの辛そうなあの表情も、あの涙も俺の頭には鮮明に残っているから、睦の顔を見るだけでも、複雑な感情を抱かずにはいられなかった…。

「今日はおめでとう!今度祝勝会やろうね!洋介君!!」

未来先輩はバッグから青い折りたたみ傘を取り出し、それを差しながら、いつものように、ニコッと笑った。

いつもなら、未来先輩の笑顔を見るだけで、緊張と照れで、無意識にでも笑顔になってしまうのに、今は意識しても笑顔が作れない…。
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