贈り物
教室のドアを開けた。


「金伊(カネヨシ)遅刻だぞー」


担任の佐々木が飽きれ気味に言った。


佐々木の授業って事は今は理科か…そんな事をぼんやり考えながら、席についた。私の席は窓側の後ろから二番目。中庭が見えるお気に入りの席


「桃花おそいよー」


隣の席で頬杖をつきながら、幸が話しかけてきた。仲井幸(ナカイサチ)。幸は中学校時代からの友達。

「だって私朝弱いんだもん」


笑いながら言うと、幸はニヤリと意地悪そうな表情を浮かべながら「このままだと留年するね」と言った。
< 15 / 45 >

この作品をシェア

pagetop