元気あげます!

ひかるは裕文のマンションへと移動しました。
マンションといっても、職場のビル内の1フロアを改造したもので、仕事をしている間に料理や洗濯などの家事は専門のスタッフが片付けておくことになっていました。


「千裕が結婚するまで軟禁状態になってしまうと思うけど、部屋や台所、風呂。どれも好きなように使ってくれていいから。
食事や洗濯はふだんは専門のスタッフがやっておいてくれるけれど、君はどうする?

家事を自分でやりたいというなら、必要なものはそろえてやるから遠慮なく、言いなさい。」


「私は自分のことは自分できますから。」


「じゃ、デスクの机に用紙とペンがあるから、いるものを書き出していてくれ。
食べたいものはこの番号に連絡すればいい。
僕は少し仕事が残ってるんで、片付けてくる。」


「あの!!」


「なんだ。逃げようと思っても見張りはきついから出られませんよ。」


「裕文さん、夕飯の予定はありますか?」


「べつにないけど・・・」


「じゃ、私が夕飯作って待ってますから、ここでいっしょに食べませんか?
あ・・・嫌じゃなかったらですけど・・・。
毒とか細工はしません。できなさそうですし・・・。
ただ、チラッとキッチンを見て、調味料とかすごくそろってたから、どうかなぁって。」



「ほぅ・・・ではお手並み拝見させてもらおうかな。
8時半頃には戻れると思う。」


「はいっ!」




ひかるは携帯電話を含む、自分の持ち物をすべて裕文に没収されているため、外部との接触はたたれていました。


幸恵に用件を伝えることができただろうか?
千裕は屋敷でどう対処するのだろうか?


じっとしていると気になることばかりが頭に浮かんできてしまうので、キッチンに行き、
夕飯の支度にとりかかることにしました。

調味料の類はすべてそろっていましたが、食材は高価なもの過ぎて、頭を抱えてしまいました。


自分なりに和食の献立を考え、教えてもらった電話番号に電話をかけました。

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