元気あげます!
「もしもし・・・あの」
「あ、ひかるさん?先ほどは申し訳ありませんでした。皆川です。」
「えっ?どうして皆川さんが・・・やっぱり裕文さんのスパイだったんですか?」
「いえ・・・ここで詳しくはいえないのです。
ひかるさんと同じように僕にも弱いところがあって、裕文様の命令をきくしか・・・」
「そうだったんですか。あ、言わなくていいです。
じつは、食材を用意してほしくて、かけただけなので・・・。」
「あ、僕が承ります。どうぞ・・・」
ひかるが材料を言い終わらないうちに、皆川はクスッと笑っていいました。
「ブリ大根に、里芋の煮っころがしって・・・ひかるさんらしいですね。」
「えっ・・・簡単にわかっちゃった?」
「そりゃ、わかりますよ。高田室長直伝のお墨付きをもらえた一品。」
「しばらくここで暮さなきゃならないんだもん、豪華なディナーばかりじゃ太っちゃいますよ。」
「太りませんよ、きっと。このビルにはトレーニングジムもついてますから。」
「そうなの?究極の引きこもり生活できそうだわ。あ、グチってすみません。
じゃ、買いだしお願いします。」
「かしこまりました。」
何やらわけありっぽかったけれど、皆川が電話の向こうにいてくれたことが、ひかるの緊張を少し和らげてくれたのでした。
それから、部屋のチャイムが鳴ってビルの受付の人が食材を玄関まで届けてくれました。
カゴの中に皆川からのメモがつけられていました。
『直接お渡しすることができなくてすみません。
でも、電話での御用聞きと調達はすべて、私がしましたので、品違いや追加があったら、また電話してきてください。』
「はぁ・・・すごいセキュリティなことですねぇ。・・・皆川さん、ありがとう。
さて・・・とがんばろ~」
そして、ひかるは夕飯の支度とお風呂の用意をしていました。