元気あげます!
裕文が帰宅すると、煮物のいいにおいがしていました。
そして、ひかるはストックされていた食材に牛肉が多かったことから想像して、裕文だけに牛肉のたたきをのせたサラダをつけていました。
「やっぱりこういうときって、ごはんにしますか?お風呂にしますか?って聞いた方がいいんですよねぇ。」
「えっ・・・」
裕文は面食らった顔をしてしまい、慌ててまた厳しい表情にもどりました。
「いっしょに食べる約束をしたのだから、先に食事にします。
お腹がすいているでしょう?」
「((あ・・・言葉がもどってる。)) はい。最初に質問しておくのを忘れたんですけど、裕文さんって嫌いな食べ物ってありますか?」
「あ、煮た魚って苦手で・・・。でも、食わず嫌いというのは子どものすることだから、チャレンジはします。」
「無理はしないでくださいね。ちょっと見た目的に、茶色っぽいかなぁって気にはしてるんですから・・・。(>▽<;; アセアセ」
ひかるはびくびくしながら、裕文がブリ大根にチャレンジしている様子を見ていました。
一口・・・。ちょっとしかめっ面しかけた表情が自然な感じに変化して、また一口。
どうやら、大丈夫な様子にホッとしました。
そして、里芋などの煮ものもスイスイと裕文は難なく食べてくれたのでした。
「ごちそうさま。えっと・・・」
「お口にあいましたか?」
ひかるは小さな声でたずねました。
「うん。おいしかったんだと思う・・・。ごめん、こういうのは慣れていないので、いい感想が言えなくて。
それと・・・僕だけ肉のおかずをつけてくれたのもうれしかった。
母は自炊はしたことない人なので、こういう配慮をしてもらったのは初めてだ。」
「じゃあ、朝食も作りますから、楽しみにしててください。」
「僕がここへとじこめたのに、うれしそうだね。」
「基本的にヒマですし、私の作ったものをおいしそうに食べてるところを見ると、やる気が出てきちゃいますよ。プレゼンの成功と同じようにね。」
「なるほど。」