元気あげます!
その夜、裕文が帰宅するとひかるはベッドで眠っていました。
布団もかけずに、とりあえずベッドまではたどり着いたようでした。
テーブルに料理とメッセージが置いてあって、
『おかえりなさい。久しぶりに運動らしいことをしたら、睡魔がいっぱい襲ってきます。
もし、帰宅して眠っていたら、起こしてくださいね。』
裕文は少し笑みを浮かべたように眠っているひかるに掛け布団をかけると、その夜は起こしませんでした。
((少し、気分転換できたのなら、それでいい。おやすみ。))
ちょうど同じ頃、千裕は自称婚約者の湯浅かおりとリビングにいました。
「これは何のマネかな?」
リビングの数か所にアロマテラピーらしき容器が置かれ、火がついていました。
「リラックス効果のあるオイルを使用していますのよ。
千裕様がイライラせずに私とお話していただけるかと思って・・・。
「僕はタバコもあんまり吸わないんでね、部屋で火を使うのはやめてほしいんだけどな。」
そういって、1つの炎を消そうとしました。
「あつっ・・・」
「まぁ。」
ガッガッガッ・・・カチャカチャ・・・
かおりは、側に置いてあった、水割り用の氷をアイスピックで素早く砕き、おしぼりでくるんで千裕の指を冷やしました。
「あ、ありがとう。」
「いいえ。私が火なんかつけなければ、千裕様に火傷を負わせることはなかったのに。
すみませんでした。すぐ、片付けますから。」
((やけに手回しがいいというか・・・手当ての早さは看護師並みだな。
どこぞの令嬢がそんな技できるのだろうか?
それに・・・))
「かおりさん、片付け終わったらでいいんだけど、水割りつくってもらえますか?
少し、飲みたい気分なんで・・・。」
「は、はい。」