元気あげます!
「そうか。ずっとひかるを守りたかったんだな。
兄貴がどうして急にものわかりがよくなったのかも理解できたよ。
けど、僕はあえて敵になる。
三崎の本妻は僕の母なんだし、千裕と協力関係には絶対にならない。
それなのに・・・敵どうしの僕たちは同じ女性に幸せになってほしいと思っている。
不思議なコだな。ひかるは・・・」
「そりゃ、私の人徳ですよ。おっほっほ・・・」
「・・・・・。」
裕文は半ばあきれ顔で出かけていきました。
ひかるは笑顔で見送って、お昼前にフィットネスクラブへ行き、女性スタッフの格好に変装して、お昼休みに兄の信之と昼食をとりに出かけるような素振りで、外へ出ることに成功しました。
信之に学校へ電話してもらい、やっとのことで千裕と連絡をとることができました。
そして、信之といっしょに学校の地下通路まで行き、手早くおにぎりやサンドイッチで昼食を済ませると、屋敷の中へ飛び込むように走って入りました。
「はぁはぁ・・・ふぅ・・・」
「さすがにお腹痛いよぉ・・・。」
息も絶え絶えに、屋敷の玄関に入ると、かおりが冷たい顔で立ちはだかりました。
「あなたたち、どなたですの?何の用です?」
そこへ後を追いかけてきた千裕が飛び込んできて、
「この人たちはれっきとしたこの家の住人だ。
俺の嫁さんとそのお兄さん。口出ししないでくれないか。」
「よ、よめさん?こんな小娘が・・・」
「ごめん、話してなかったけど、俺の嫁は俺の学校の生徒だから・・・。」
「えっ!ええっ!!!そんなウソなんて信じませんよ。」
「嘘じゃない。勝手に押しかけてきたのはそっちだからね。」