元気あげます!

かおりがありえないといわんばかりに意見を言おうとしたそのときでした。
信之が、かおりの顔を見て叫びました。



「き、君は・・・マーマレードの冬美ちゃん。そうだろ?
冬美ちゃんだ・・・お店つぶれたから、どうしたんだろうって仲野さんが心配してたよ。」


「おにいちゃん、この人知ってるの?」


千裕も思わず、信之の方を振り返って言いました。

「マーマレードって店の名前ですか?」


「うん。簡単にいうと・・・バーというかキャバクラっぽい店だったな。
そこのチーママが冬美ちゃん。
彼女はほんとに楽しくお酒をすすめてくれる人だからさ~、俺の上司の仲野さんって人が夢中になっちゃってね。

俺は3回ほど連れていってもらったからね。
冬美ちゃん、元気にこんなところにいたんだね。」



「私はかおりよ。冬美なんて名前じゃないわ。」


「あれ・・・でもさ、そのブレスレットって仲野さんからのプレゼントだって自慢してたやつじゃん。」


「えっ・・・」


「かおりさん、妙なところで正体がバレちゃいましたねぇ。
アイスピックの扱いとかお酒の扱いがうまいはずだ。
ここにまだいると、もっといろいろとあなたの情報が聞けそうですが、まだ居座りますか?

仲野さんでしたっけ?その人にもなんらかの迷惑もかかりそうですし、関連している人たちにも・・・召使いの上役にもね・・・。どうします?」



千裕が笑顔でかおりに詰め寄ると、かおりは荷物をまとめに行きました。
そして、すぐにどこかに逃亡し、召使いたちもどこへ行くとは告げずに去っていきました。


「誰のところへもどるのかきかなくてよかったんですか?」


ひかるが心配そうに質問すると、千裕はきくだけ無駄だと答えました。
首謀者は裕文なのは間違いないのだから、ひかるはその先は何も言いませんでした。



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