元気あげます!
「それにしても、ひかるのお兄さんのおかげで俺も助かったよ。
ありがとうございます。
あ、でも・・・あのビルのフィットネスクラブにはもどれないですね。」


「いいんです。ずっとひかるに苦労かけてきて、助けたいと思ったから出てきたんですから。」


「もしよかったら、僕の友人の経営しているジムを紹介しますので、そちらで働いてみませんか?
そこなら三崎のいざこざに巻き込まれなくても済みますし。
おそらく、給料も今よりよくなると思います。」


「気を遣わせてしまってすみません。あの・・・少し聞いてもよろしいでしょうか?」


「はい」


「妹のひかるは、このとおり元気なのが取り柄ですが、三崎様のお家柄とはかけ離れた存在ですし、今回のような、ご兄弟の争いに巻き込まれたりするのは、身内にとってはとても心配なんです。

千裕様はさきほど、ひかるを嫁さんだと言われましたが、それを冗談ではないと信じても本当にいいんですか?

その場かぎりの言い訳とか、断る口実にひかるを使うなら、ひかるはこちらへは置いておけません。」


千裕は信之の真剣な問いかけに頭をさげて答えました。

「言い訳や断る口実などでは決してありません。
僕自身は三崎という家を捨てる覚悟だってあります。
僕の母は孤児院で先生をしていました。
三崎から見れば妾の子です。
それに、事業や経営は近々、兄に引き継ぐことになっています。

ですから、財産的には魅力的な存在ではなくなってしまうんですけど、ひかるさんとのお付き合いは結婚を前提とした真剣なものだと信じてほしいです。」



「それをきければ、もう何も言うことはありません。」


そして、またこれからの生活に・・・と話題が変化するそのときでした。



バタン!!!


「ひかるさん、ひかるさんはこちらにきておられませんか?」



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