元気あげます!
「裕文様は焦っていたんですね。
千裕様より、高く、高く跳ばなきゃって。
いっしょにお仕事させてもらった私が言うのも何ですけど・・・裕文様はとても堅実にお仕事される方だと思います。
一般的に堅い仕事を1つずつコツコツやるタイプでしょ。
仕事を抜け出して、学校の保健室でさぼったりしないし。」
「ああ。1つずつやっていくしかない。
あれこれ興味はあるけど、僕にはそれぞれに手をつけたり、誰かに頼ってしまうというのができないんだ。
あとで、何かが思い通りになっていない結果が出るのが怖くて。」
「私の友達にもそういう人いました。
手を出したものは責任を持って最後までやらなきゃって。
ただ・・・ひとりができることってしれてるんですよね。
その友達、風邪をいつもこじらせて寝込むことが多かったです。
思い通りの結果は出てないかもしれないけど、重い荷物は何人かで分けて持たないと、続かないですよ。
あ、こんなにしゃべって、傷にひびいちゃいますね。
お休みにならないと。」
「背中から一突き・・・もう少しで心臓をやられてたかもしれないって。
母は違ってもやはり兄弟なのかな。
同じ女性に心配かけてさ・・・。
見ての通り、僕はしばらく動けないから安心して行きたいところに行けばいいよ。」
「じゃ、お言葉にあまえて失礼するとしましょう。」
「あ、待って・・・つっ・・・」
体を起こそうとした裕文に、ひかるは慌てて駆け寄りました。
「無理はだめです。え・・・」
裕文の手がひかるの手を握っていました。
手に力がぜんぜん入っていない状態なのに、ひかるの右手を両手で包み込んでいました。
「つらい思いをさせてすまなかった。
いろいろありがとう。」
「何、お別れな言葉いっているんですか。
まだ、これからも前にたちはだかって意地悪しかけてくるんでしょう?」
「もうそれはやめとくよ。
誰かさんが変装してビルから脱走するわ、千裕の花嫁候補を追いだしたからね。
僕の負けだ。
負けたのに、ノコノコとここまで来てしまうし、勘弁してほしい。」
「あ・・・ばれちゃってた・・・。」