元気あげます!
「どうしたいって・・・。こいつじゃどうにもならねぇし・・・けど、バラが」
「バラはもどらないほどひどいんですか?」
「そうでもないんだけど・・・天気がな、夜から雨って予報が出てて、ちぎれたまま雨なんてことになると腐っちまう。俺だけじゃ手がたりねぇし、助手がいるんだ。」
「私が助手をやれば、なんとかなる?」
「そりゃ、なるけど・・・いいのか?」
「少しだけ待ってて。許可とってくるから・・・」
ひかるは、学院長室へ走っていくと、千裕に事情を説明しました。
千裕は母親のバラに関することだということで、高田にひかるの修行を夜にしてもらえるように連絡し、ひかるといっしょに北橋のところへとやってきました。
「えっ・・・三崎先生まで。いいのかよ。」
「男女交際は認めない学校なんでな。それに、我が家のバラだときいては知らん顔はできないだろ。」
「たしかに。じゃあ、先生もひもでくくったりとめたりするのを手伝ってよ。
えと・・・ひかるちゃん?は落ちた枝をどんどん拾っていって。
濡れると滑るから、とりのぞいていって。」
「はぁい!」
3人でせっせと作業をして、なんとか18時過ぎには終わることができました。
空はかなり黒雲が出ているものの、まだ雨は降っていません。
「よかったぁ。間に合った。ありがとう、先生、ひかるちゃん」
「北橋先輩っていじめっ子なのかと思ったけど、優しい人なんですね。」
「えっ、俺そんなこと言われたことねぇよ。ただ、このバラの品種は貴重でさ、代々うちの家族が守ってきたし、奥様が新年度のパーティのときに自ら生け花をして、飾ってくださるんだ。それがうれしくてさ~あれ・・・ひかるちゃん、血が・・・」
輝人はひかるの右手をひっぱると手の甲に絆創膏をはりつけ、その上から軽く口づけしていました。
「きゃっ・・・ご、ごめんなさい。ちょっとびっくりして。
自分の手なのに気付いてなくて・・・ありがとう。」
千裕は2人にさっさと帰るようにいうと、ひかるの腕をつかんで駐車場へ行き、すぐに屋敷へともどりました。