元気あげます!
「まぁ大変だったけど、ひかるのお兄さんに会えたし、お兄さんのおかげで、俺は素性のわからない女と結婚しなくて済んだから、結果はよかったんだけどな。

さて・・・じゃ、さぼった分をとりかえすべく、がんばろうな。」



「う・・・。」


せっかくの休日も千裕先生の補習授業と一通りの問題をこなしただけで、夕方になってしまいました。


「有意義な1日だったな。」


ひかるは疲れたのと、この授業空気の中に居たくないのとで、黙って自室へもどっていきました。


部屋のベッドに倒れ込むと、自分の現在と未来について考え込んでしまいました。
裕文のマンションで軟禁生活をしていたときには、とにかく戻る方法はないかと考えていたのに、いざ戻ってくると、補習を受けて、学校を卒業するとして・・・。

その後いったい何がしたいのかと考えてしまいました。
3年生だから、進学や就職を考えなきゃいけないのです。
でも、選ぶ余地などないひかるでした。


((就職する・・・。やっぱり三崎のいずれかの会社に就職して働かせてもらうのかな?
高田さんについて、立派なメイドになるしかないのかな?
進学なんてありえないよね。
1円たりとも、私は持っていなんだもの。
お仕事するようになったら、お兄ちゃんと暮らした方がいいのかも・・・。

なんでそんなこと考えちゃうんだろう。
千裕様と会えないのは嫌だけど・・・私の中に自分の力で生きていきたい自分がいる。


今の私は生徒でしかない。やっぱり思い知らされちゃう。))



目をとじていろいろ考えごとをして、そっと目をあけると目の前に心配そうな顔をした千裕がひかるの顔を見ていました。


「え・・・ち、ち・・千裕さまっ!いつからそこに??」



「ちょっと前からだけど・・・。つめこみでやったからつらかったか?
何も言わずに出て行くから、来てみたら泣いてるみたいだったし。」





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