元気あげます!
そして、琴美は屋敷近くにひかるがいないか、出かけていきました。
ひかるは、さほど遠くない公園のベンチに座っていました。
琴美はわざと声をかけました。
「水口光子さん。」
「えっ・・・あの・・・光子は私の母の名前ですけど、どなたですか?」
「申し遅れましたね。私は三崎琴美といいます。
千裕のおばあちゃんといった方がわかりやすいかしらね。」
「えっ!!千裕様のおばあさまでいらっしゃったのですか。
申し訳ございません。失礼な受け答えしてしまいました。」
「あ、おばあさまって言わないで。『琴美さん』って呼んでくれるかしら?
千裕もそう呼ばせてますから。うふふ。
私はね、千裕を三崎に入れるためにあなたのいた施設までお忍びで行ったのよ。
そこで、水路にはまってしまって、光子さんに助けていただいたの。
恩があるのよ。
だから、光子さんに恩返しをするためにも、あなたのことを任せてくれないかしらと思ってあなたを捜しに来たのよ。」
「私を捜すためにわざわざ?」
「ええ。ねぇ、高校卒業したら、私とフランスへ行く気ない?」
「フランスですか?」
「無理にとはいわないわ、あなたに目標があって頑張る理由があればきかなかったことでいいのよ。
でも、もし興味があるなら、どうかしらと思って。
フランスは料理やお菓子、芸術、ファッション、女性が気になる勉強が多彩にできる環境があるわ。
私もこのとおり齢でしょ?ひとりでいるときが不安になったりするの。
だから、ひかるさんが学びながら、夜うちにいてくれたら、とても助かるんですけどねぇ。
千裕はね、あなたにゾッコンなんだから、好きなだけ待たせておけばいいじゃない。
マズイと思ったら、逃げてくるでしょうし。」
「千裕様は私がフランスに行ってもいいと言われたんですか?」
「やりたいことをさせてあげたいんですって。もちろん表向きだけですけどね。
本心はもう、心配で心配で・・・泣きそうな顔してましたよ。あははは。
ひかるさんは千裕にふさわしい女性になりたいと思ったんじゃなくって?」