元気あげます!
ひかるは千裕にフランス行きの話を伝えてから、補習は学校の理事長室でやって、夜はメイドの仕事後、自室で早めに休む日々を過ごしていました。


明日、本家に乗り込むからと琴美は言ったけれど、何の用件で行くのか、何をするのかなど何もひかるは知らないので、ひかるはグラスと水を持って千裕の部屋をたずねました。




「失礼します。あの・・・お仕事中すみませんが、ききたいことがあって・・・。」


千裕は眼鏡をはずして、机の上に置き、スタスタとひかるの前まで近づくと、すばやくひかるからグラスと水を置いたお盆を取りあげ、入口横の棚の上に置きました。


そして、ひかるの手をひっぱるとソファーに押し倒しました。


「あ、あの・・・ちょっ・・・やだ・・・。」


「嫌って言うかなぁ。家で補習させてくれないし、夜はぜんぜん来てくれないし、学校でもほとんど口をきくこともない。
もうすぐ、フランスに行ってしまうというのに・・・悲しすぎるぅ。」



「いい大人が、みっともないですよ。」


「何とでも言え。琴美さんの手前、フランス行きに反対するわけにもいかなかったけど、正直なとこ、俺は・・・」



「私も嫌ですよ。千裕様と離れて暮らすのは・・・。
裕樹様と幸恵さんが結婚したら、そういうお話がたくさんあっても不思議じゃないんですもの。
この前のキャバ嬢さん?あの人もどういう命令を受けてとか、理由とか何もわからないまま逃げちゃいましたけど、千裕様のことは真剣に好きだったみたいだし・・・。

学校も、新入生がきて千裕先生ファンが追っかけてたら・・・なんて想像するのも嫌です。」



「それでも決心したんだったな。ごめんな。それで、ききたいことって?」



「琴美さんといっしょに、幸恵さんも私も本家へ行くことになってるって。
琴美さんはいったい何をするつもりなんですか?
幸恵さんはたぶん・・・裕樹様と結婚の許可をもらうのでしょうけど・・・私はどうして・・・。」



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