元気あげます!
「母さん、それはいいすぎです。2人が子どもの頃に施設で接点があったとしても、ひかるは当時は普通に自営業を営んでいた家の子どもだったんですよ。
社長令嬢じゃないですか!」


裕文が思わず沙代子に向かって声を荒げていいました。


「まぁ・・・裕文さんはどうしちゃったのかしら?
もしかして、ひかるさんは千裕さんだけじゃなくて裕文さんまで取り入ったのですか?」



「ひかるは誰にも取り入っていませんよ。
僕がこの家に入る決心をさせてくれた女の子です。
彼女がいなかったら、僕は三崎の家を継いだりしませんでした。」


今度は千裕がはっきりと言いました。


「過去のいきさつがあるのはわかりました。
でも、今そのお嬢さんの状況は実のお兄さんが見つかったということだけで、経費的にもすべて千裕さんが面倒を見ているそうではありませんか。

それとも、そのお嬢さんが三崎にとってなくてはならない貢献でもなさったの?」



「今は学生ですが、未来は立派に貢献できる人物なのは僕が保証します!」

千裕がまた言い切ったとき、隆裕が口を開きました。


「ひかるさんがおまえの母のようになってもかまわないというのか。千裕は?」


「ひかるは母さんのようにはなりません!僕の本妻にします。
もし、どうしてもお許しがいただけないのなら、僕が三崎を出ます。
それなら、何ら問題はないはず。
兄さんが事業を引き継いでくれますし、僕が苦手な実業家の道をたどらなくてもいけるはずです。」



「バカ者がぁ!最近どうも、重役たちがおまえの仕事ぶりに難色を示していたわけがわかった。あきれたやつだ。
仕事のノウハウを徹底的に教えてやったのに、女ひとりのために持ち崩すとは・・・。

だがな、おまえの希望はかなえてやるわけにはいかん。
配置換えして、おまえは裕文の下で働け。
それと、ひかるさんにはすぐに屋敷を出て行ってもらいます。」




「えっ。」

千裕とひかるは顔を見合わせて、手を強く握りました。



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