元気あげます!
「そんなことないです。束縛されてるなんて思ったこともないし。
私は自分に自信がないから、勉強に行ってくるだけです。
私にとっての千裕様は王子様ですから。
王子様にふさわしいお姫様になって帰ってきます。
いい返事をすぐできないのは、幸恵さんと同じです。
幸恵さんだって、裕樹さんが嫌いだから返事をすぐしなかったわけじゃないのはわかるでしょう?」
「あ、・・・うん。」
「信じてくれない?」
「信じるけど・・・心配で。ひかるはかわいいし、優しいから悪い虫が寄ってきやすいだろ。
実の弟って虫までうろつくんだから、心配するなという方が無理。
経営学とかパティシエとか男が多いじゃないか。
そんな中にちっちゃなひかるが押さえつけられてやしないかと思うと・・・もう。」
「はいはい、実の弟さんと生徒に手を出したお兄さんにはとくに気をつけるようにしますから。
あ、またそんな顔する・・・。
メールも毎日しますし、連休には帰国するようにしますから。
千裕様もそんな顔は私以外に見せないでくださいね。」
普通っぽいデートをした休日はあっという間に終わり、それから2人はそれぞれにまた多忙な日々を過ごしていました。
ひかるは無事、高校を卒業し、裕樹や三崎の関係者、友人たちに送別会を開いてもらいました。
しかし、千裕の姿がずっと見えないのでひかるは不安になっていました。
((明日はフランスに発つ日なのに・・・。))
千裕に行ってきますも言えないまま外国に行っちゃうなんて・・・。
何が心配だ・・・なのよ。
でも・・・もしかして、どこかで泣いちゃってるのかも。
ありえないような想像までしてしまうほど沈んでいると、高田がひかるに千裕からの預かりものだと紙袋を渡されました。