元気あげます!
「お屋敷の中におうち?わざわざ琴美さんが私のために用意してくださったのですか?」
「学校のお友達を呼んで、お料理をふるまったりしやすい部屋にしたのよ。
あなたの希望をかなえてあげたいと思ってね。
知らない土地で寝るだけのお部屋だなんて、悲しいじゃない?」
ひかるは琴美にたくさんお礼の言葉を述べました。
こんなに細かく配慮してくれていたなんて、三崎のお嬢様以上の扱いじゃないかとすべてが夢のようで、疲れた体も半分は疲れがふっとんだ気がしました。
家のカギを開けてもらって、部屋の明かりをつけると、リビングがうっすらと明るいのが見えました。
「どなたかが何か用意してくださっているのかしら?
琴美さんは何も言ってなかったし、カギをくれただけで、ご自分のお部屋に先にいってしまわれたし。」
それでもこれからここが自分の家だと、ひかるはリビングのドアを大きく開けました。
バラバラバラ・・・カチャン・・・
「だ、誰!?」
「長い道のりお疲れ様。これからが大変だけど、よろしくね。」
「え、えぇっ!!!””」
回転型のチェアがくるっとまわって、千裕がにっこりと笑って座っていました。
「な、なんで?どうして?
お仕事でずっと手が離せなかったんじゃなかったんですかぁ?」
「ああ、手が離せなかったよ。おかげで送る会もお見送りもできなかった。」
「ふざけないでください!まさか、お仕事をみんなホッポリ出してきちゃったんじゃないでしょうね。
そんなことまでする千裕様なんて・・・嫌いになります。」
「そりゃないよ。俺けっこうスケジュール調整するの苦労したし、仕事の拠点が変わるからその準備でもう外国とびまくりだったし、学校も幸恵さんにお願いしてひととおり引き継いでさぁ・・・もうどれだけ多忙だったと思ってるんだよ。
ほとんど寝ずに仕事してたんだからな。
それで、やっとこれから、ここで普通に生活できるというものだ。」