元気あげます!
「それなら俺、数学得意だから、教えてあげるよ。他の科目も賢いヤツ知ってるからひっぱってきてもいいしさ。」
「ほんとですか!わぁ。」
ちょうどそのとき、2人の間を割って入ってきた人物がひかるに声をかけました。
「確かに北橋は数学は得意だが、他はぜんぜんだ。その他の科目は僕がひきうけよう。」
「えっ・・・あの・・・」
「僕は高等部の生徒会長をしてる渋沢祐一。放課後なら生徒会室で勉強してもいいよ。」
「あ、すみません、放課後は千裕先生の補習とか、仕事の予習があるので・・・」
「仕事の予習?」
「ああ、ひかるちゃんは三崎家のお屋敷で、メイド見習いやりながらここに来てるんだよ。ご家庭の事情ってやつなんで、そこらは勘弁してやって。」
「そうか・・・。そりゃ、大変だね。じゃ、北橋が教えるときは僕も合わせるようにしよう。」
「えっ、でも、会長さんってお忙しいのでは?」
「べつに何時間もってわけじゃないでしょう。冷たいように見えるかもしれないけど、これで僕はかなりおせっかいなヤツだったりするんだよね。
遠慮せず持っておいで。」
「よかったな。こいつ味方にいれば、もう大丈夫だ・・・」
「はい、よろしくお願いします。」
早速、午後からの授業のわからないところを2人にきいて、ひかるは笑顔で教室にもどりました。
心配していた午後の授業も2人のおかげで、無難に乗り切り、いつものように急いで屋敷へともどると、高田がメイド修行のカリキュラムを用意して待っているのでした。
そして、ちょうどそのころ、別の仕事先から学校へもどってきた千裕が担任の津田とひかるの成績のことで話をして、その後、屋敷へ帰宅しました。