元気あげます!
「ああ。俺は母親似だから・・・もう死んだけどな。」
「死んだって・・・奥様はまだ生きてるのに・・・」
「察しの悪いヤツだな・・・俺はよそでできた息子だから。」
((あっ・・・まずいこと聞いちゃった。・・・千裕様にそんな事情があったなんて・・・。))
「やばいこときいたとか思ってるんだろ。こんなのちょっと調べればわかることだし、気にしていない。
今の両親からいじめられてるわけじゃないし、三崎の多くをまかせてもらえてることは誇りに思ってるし、恵まれてる。
おい、なぜ泣きそうな顔をする?」
「だって、私ずっと千裕様は何でも任されるくらい優秀でご両親や身内の方々からさぞ愛されてきたんだろうなって思っていました。
でも、ときどき、ご家族の方が参加する会合や年配の方が多く参加される集まりだと暗い顔をされていましたよね。
ちょっと気になっていたんです・・・。」
「ふぅ~~~ん。気にしてくれてるんだ・・・。」
「いえ、そういう意味ではありません!ただ・・・」
「ただ?」
「ひとりだけ違うってことは、私もそうですし・・・。あっ、わかったようなことを言ってすみません。私はただの使用人なのに、比べ物にならないですよね。本当にすみませんでした。」
千裕はひかるの左肩をポンとたたくと、小さな声でつぶやいた。
「気にしてくれるんだったら、しっかり勉強して、早く俺の片腕にくらいなってほしいもんですな。」
「はいっ、もちろんがんばりますっ!期待しててください。」
「ぷっ、調子に乗るなよ!・・・ここまちがってるし。」
「えっ、うそぉーーー!」