元気あげます!
((私がドレスを着たら淳裕さんと歩くことになるんだよね。
でも、私は今、学院長室が気になってる。すごく気になってる・・・。
すごく胸騒ぎがして・・・。
今、行かないと、絶対ダメ・・・。深い意味はないけれど、あの女性が・・・。
どうしよう、抜け出せない・・・。))
ひかるが悩んでいると、葉子が近くにきて、こっそり、どうしたのかたずねてくれました。
いつものひかるの動きと違うことに、妙な心配が起こってしまってしようがなかったというのです。
ひかるは葉子に胸騒ぎのことを話すと、葉子は渋沢を呼びつけて、ひかるの気分が悪いので、ついててあげてほしいとうそをつき、ドレスは葉子が着るということになりました。
渋沢に連れられて、体育館の非常出口から出たひかるは、渋沢といっしょに学院長室へと走っていきました。
渋沢は、なぜ学院長室に?と思いましたが、ひかるの様子が確かに変だと思ったので、とりあえず、行けば何かわかるかと思っていました。
そして、2人が学院長室に入ると、そこには左足の大腿部から血を流して倒れている千裕の姿がありました。
「きゃぁーーーーー!千裕さまぁーーー!」
渋沢もいきなりのひどい光景に、一瞬動けませんでしたが、なんとか携帯電話を握り直して、救急車と警察を呼びました。
ひかるは、手近なもので止血しようとしましたが、太い血管が傷つけられているのか、出血が止まりません。
「あきらめるな!絶対助かる。せっかく先生が君を呼び寄せたんだ。
ここに来ることができたってことはきっと助かる。」
渋沢の強い物言いに、なんとか意識を失わずに、旗の布をつかんで千裕の傷口をギュッと押さえていました。
文化祭中だったために、救急車は近くにいたのか、千裕は早急に救急病院へ運ばれました。
渋沢はわざと執行部にこのことは知らせず、淳裕と副部長に個人的にこのことを知らせて、文化祭そのものは残り少ない時間なのでうまく終わらせてしまうことにしました。