元気あげます!
淡いクリームイエローのふんわりドレス・・・。
机の上には置いていなかったものの、バッグと靴も用意されていました。
腕をひっぱられるままに、千裕は海の近くのとある小さなレストランっぽい店までひかるを車で連れてきました。
小さなお店の中にはお店のオーナー夫婦と数人の人たち。
上品でゆるやかな曲が流れると、数人の人たちが次第にペアで踊りだして・・・
「さぁ、1曲お願いします。」
千裕がひかるに手を差し出しています。
ひかるは・・・まだ何のつもりだかわからないまま、キョトンとした表情をしていました。
「はずかしがってんじゃねぇぞ。おまえがこういうのやりたがってるみたいだからって高田が言うからさぁ・・・こっちもかなりはずかしいのに、セットしてやったんだからな。」
「じゃ、このお店は?」
「高田の親戚の店らしい。さ、手を出せって。」
「あっ・・・でも、私は・・・こういうダンスなんてやったことないですぅ。」
「俺もリハビリ中だから、多少ふんづけるかもしれないけど、動きを俺にあわせていれば大丈夫。」
「まさか・・・千裕様って・・・こういうのもこなしちゃうの?」
「さぁ?どうかな。ひかるが楽しいか楽しくないかで評価されるわけだ。ははっ」
ひかるは少し震えながら、千裕の指示どおりに動いていきました。
((まだ、信じられないよ。動く指示はもらってるけど、スムーズに踊れてる。
ほんとに私なの?それとも、これって夢?
だって・・・・・黒ぶちメガネさんの細かくてうるさい男がいきなり王子様だよぉ。
私・・・病気がひどくなっちゃったんじゃないかな。
目をさましたら、部屋のベッドの上だったらどうしよう。))
そんなことを思いながら、とうとう、千裕の胸に倒れ込んでしまいました。
「ひかる、しっかりしろ!ひかる!」
「夢をありがとう。すごくうれしい。」
ひかるの様子をみて、ひかるを抱きかかえると店の外へ出ました。