元気あげます!
「離してください! そんなふうに優しくしないで。
住む世界が違うんですから、触れるのはダメです!」



「ごめん、ごめんよ、ひかる。俺はじつのところ、この家では今、こんなふうにがんばるしか生きられないんだ。
おまえから星をいっぱいもらって、ずっと宝物にしていた。
父親のない子として、孤児院で働く母と、毎日きびしい生活をしてきた。

その後、おまえの母親が死んでたって聞かされて・・・それなのにおまえはあのとき、星を作ってくれたんだよな。
俺はあのとき、母から引き離されて三崎の家へ連れて行かれるって聞かされてさ、めちゃくちゃ泣いてたんだ。

おまえは自分をがんばらせるために作ってた宝物の星を俺に全部くれたよな。あのとき、おまえは俺に三崎の家に入る勇気をくれたんだ。・・・それから、実際に三崎の家へ行くと決めた日に母が倒れて、そのまま帰らぬ人になってしまって。」


「えっ・・・」



「でもな、どんなにつらくっても、陰口言われても、俺は決めていたことがある。
自分の力で稼ぐようになって、家族を養えるほどになったら・・・そのときは、星をくれたあの子にもう一度会いに行こうって。

会いに行って、もし、あのコが結婚していないようなら、俺の嫁さんになってくれないかなって・・・。


でも、まさか、こんな出会い方してさ、俺もこんな動きがとれないことになってるなんて予想できなかったんだ。


住む世界が違うなんて誰が決めたんだ?
同じところに住んでたことあるのに・・・。いっしょに遊んでたのに。

やっと会えたというのに・・・同じ部屋にいるというのに・・・。

苦肉の策で考えたのは、俺の側までおまえがのし上がること。
それしかないって思った。
でも・・・それはおまえには重過ぎる。

俺の重荷をおまえにおしつけるのはやっぱり無理だ。
俺の側にいるほうがつらいのなら、もう俺はここへは戻らない。

三崎の財力を利用して、おまえががんばればいいことだし、ここは危険だから親父の屋敷に住まいを変更してもらう。
あっちにはメイドも社員も女性が多くいるから、働きやすいと思う。」






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