元気あげます!
「嫌がってるのか?」
「いえ、間違いました。恐れ多い・・・ってことです。はい。」
「まぁ・・・最初からそうガチガチになることもないけどな。
あ、言っとくけど・・・この家、今はとてもメイドの数が少なくてな、絶対数男の方が多いんだ。
妙なことされそうになったら、すぐ俺に言いに来いよ。
念のため、これも渡しておく。」
「これは?」
「うちの学校でも女生徒に配ってあるんだけど、防犯ブザー。端のフックを引いたら大音響する。そして、おまえの持っているのは、俺が改造した特製の防犯ブザーでな、音が出るのはもちろんだが、俺と俺の兄弟だけがわかる発信器がついている。
どこにいるかがわかるしくみ。それと、超小型マイクもな。」
「なんか・・・すごいですね。ところで・・・千裕さんって4兄弟の・・・」
「2番目だ。兄貴は実業家になるのが大嫌いで、A市の市役所で働いてる。典型的な公務員だな。名前は裕樹(ひろき)だ。
3番目と4番目の弟はそれぞれ会社の社長になってるよ。
金融系は俺と3番目の裕文(ひろふみ)でまわしてる。
4番目は商売人で、例のでかいショッピングセンターの経営者だ。
淳裕(あつひろ)っていう。
ざっとしゃべったけど、おまえの頭だと理解するのに時間がかかるだろうから、まぁそのうちにボチボチ覚えればいい。」
「バカにしてるんですね。私、学校へ通っていたときはそんなに成績悪い方じゃなかったんですよ。好きでやめたわけじゃないし。」
「そ・・・っか。じゃ、楽しみだな。もう、おまえのオヤジとも会うこともないだろうし、学校も家も楽しめよ。」
「はい、モチロン・・・って・・・あの・・・お父さんと会うことないって・・・どういうことなんですか?
お父さん、これから入院するって・・・元気になって働くって」
「やっぱりか・・・おまえ、父親に売られたの気づいてなかったんだな。」
「売られた?お父さんが・・・私を三崎に売った?・・・どうして・・・」
「広告を自分で、読んだか?」
「いいえ。お父さんがメイド募集中だからとしか・・・」