元気あげます!
千裕は慌ててドアをあけ、飛び出してきました。

吉岡はにっこり笑って、書斎で話をさせてほしいと申し出ました。



「それで、どこにいた?君のことだ、居場所はわかっているんだろう?
すぐに迎えにいく。どこ?」


「それが・・・今は行かないでいただきたいのです。」


「な、なぜだ?居場所がわかってるなら、早くいってやらないと、あいつのことだから、とんでもないバイトに手を出すかもしれないし、知らない男にホイホイついていって、取り返しがつかないことになってしまうかもしれないじゃないか・・・。」



「ま、まぁホイホイ・・・ついて行かれたといえばそうなんですがねぇ・・・。」


「な!男といっしょなのかぁ!!!!それならなおさら、今すぐ行って・・・」



「おほほほ・・・そんな子どもじみた千裕様にひかるさんはほんとに会いたいと思うんでしょうかねぇ。」


「くっ・・・なんのつもりだ?俺の気持ちを知っていて楽しんでいるのか?失礼じゃないか。」


「申し訳ございません。なにせ、ひかるさんがついて行った男性というのは、裕樹様ですからね。・・・・あ、住まいは裕樹様の彼女さんの家ですから、ご心配はありません。
しっかりしたお嬢さんで、ひかるさんもお姉さんのように慕っておられます。」



「あ・・・兄さんが?」


「裕樹様はひかるさんに偽名で自己紹介されていて、名前が似た別人を演じておられまして、ひかるさんは三崎とは関係ないところで生活していると信じて生活しておいでです。

そこで、突然、千裕様が押しかけたら、お兄様の配慮がぶちこわしになってしまいます。」


「兄さんの配慮?って・・・。兄さんは俺とひかるのことを知っているのか?」


「ええ、私と話す前にひかるさんから、名前はふせていたらしいですが、かなり詳しく事情を話しておられたそうです。
お兄様はお役所で、いろんな方の相談にのっておられるお仕事をされてるのが、ひかるさんのためにも役にたったようですよ。」



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