元気あげます!
翌日、出社初日目・・・。
ひかるが吉岡をたずねてオフィスへ行くと、吉岡はにこやかに迎えてくれました。
先輩社員に挨拶をして、コピーとりや、ファイリングなどの雑用からやっていくことになりました。
ひかるは吉岡が思っていたよりも、要領よく仕事をこなすため、用意していた仕事が途切れてしまい、思わずひかるに休憩をとるようにすすめました。
「あの、初日だからとかってお気を遣わず、どんどん命じてください。
猫の手も借りたい程、皆さんお忙しいのに・・・。」
吉岡は予想外の展開にとりあえずは、教える側が現在手があいてなくてとごまかしたものの何時間もその手は使えないことは明らかでした。
そのときです。
オフィスに「もどりました。・・・」
と物静かで上品そうな青年が入ってきました。
「あ、あなたは・・・」
吉岡は小声で青年に話しかけると、青年は表情を変えずに
「人事部で面白い情報を得たのでね。僕が直接きてみたというわけです。いいですね。」
吉岡は少し顔をひきつらせながら、頷きました。
物静かな青年はひかるに近付くと、
「あなたが手伝ってくださるという臨時さんですか?
僕は三浦裕文といいます。もし、よかったら、僕が作成した文章をパソコンで仕上げていってもらえませんか?」
「は、はい。今日からお世話になります、水口ひかるです。
新米でキャリアもありませんが、がんばって覚えていきますのでよろしくお願いします。
あの・・・私が仕上げって・・・いいんでしょうか?」
「ああ。もちろん、僕がチェックはしますよ。深く考えず、とにかく文字を打ち込んでいくと考えていただければ簡単だと思うのですが・・・。」
「そういうことなら了解です。」
吉岡はさりげなく、千裕に電話をいれようとしましたが、すかさず、裕文に止められてしまいました。
「会社を私物化するような行為は見逃すわけにはいきませんよ。
ま、短期計画のようですので、僕があの方の裁量を見てあげますよ。
人材として本当に優秀な人でしたら、僕の会社で正式に雇ってあげます。
事の発端が千裕であるなら、それは家族でなんとかする問題でしょうからね。」