元気あげます!
「裕文が俺に協力をしようなんて思うわけがないし、勝手に俺が学院長おりたなんていう話を作ったのだって、何か裏がありそうだ。

でも、明日にはひかるが登校するんだよな。
今日が始業式だったから、俺と会うことはたぶんないだろうと思うけど・・・。

とにかく、学校に行くといってくれたならいい傾向だし、兄さんがいうように、裕文の監視はお願いします。

あれ?高田・・・どうした?」



「いえ、ひかるが学校へ行くというのに、ここに帰ってくるのではないと思うと、ちょっとさびしいのですよ。
落ち着きがなかったり、失敗もしておりましたが、ひかるが帰ってくると、私共も半分仕事が終わったなとホッとさせられた日々でしたからね。
元気をもらえてたんでしょうな。」


「そうだな。補習してやる時間は、以前はぶったおれてた時間だった。
けど、ひかるに補習してやらなきゃって思ってから・・・あいつが嫌そうに毎日やってくるようになってから、苦痛じゃなくなってた。
どうしてるんだろうな。今頃・・・。」



翌日、始業式に1日遅れて、ひかるは再び登校しました。

制服や学用品などすべて、吉岡が高田から受け取って、ひかるに届けられました。


「学院長のネーム板がなくなってる!・・・三浦さんの言ってたことは本当だったんだ。」


ひかるは、学校での千裕のことを気にしながらも、新しいクラスへと入っていきました。

2年のときに同じクラスだった葉子は隣のB組におり、3年はひかるはA組になりました。



休憩時間にひかるに近付いてきたコが言いました。

「水口さんって、千裕先生のお気に入りだったコだよね。」


「えっ、いきなり何を・・・」


「だって、あなたが倒れたとき、血相かえて走っていったり、他の先生があなたの遅れを指摘したら私がフォローしますとか言ってたのを見たもの。
健気な千裕先生が見られるのが、私の何よりの楽しみだったのよ。」




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