元気あげます!
「はぁ?千裕先生のファンではないの?普通、私は憎いはずなんじゃ・・・」
「あ、自己紹介がまだだったわね。私は日高ひとみ。マンガや同人誌が大好物なの。
禁断の愛なんて、けっこう興味あるんだけど・・・。」
「私、そういんじゃないから。家庭の都合で1年遅れで高校生やってるから、気を遣ってもらっているだけよ。」
「ええっ・・・そうなの。それじゃつまんないぢゃん。」
「おぃおぃ・・・・。」
他人の目からも禁断の・・・っぽく見えちゃってたんだなぁ・・・とひかるは少し思い返していました。
「あ、ダメダメ。3年生なんだから、無事卒業できるようにがんばるだけなんだから!」
帰りのホームルームが終わって、ひかるは今度は出社準備だぁ!とばかりに駆け出しました。
生徒入口から正門を出て、何気に振りかえると、千裕がひかるの方を見ていることに気がつきました。
「あ・・・うそ。どうして・・・?」
足が止まり、千裕の顔を見た途端、千裕はささっとひかるに背を向け、歩いていってしまいました。
「え・・・何?今の・・・。もしかして、すごく怒ってる・・・」
ひかるは胸を押さえて、首をブンブン振ると、急いで職場へと向かうのでした。
職場に到着すると、ひかるの机の上にはたくさんの書類が山積みになっていました。
「あぅ・・・」
「おっ、やっと来ましたか。水口さん用の仕事をたくさん用意しておきましたよ。」
裕文はやはりいつもの冷静な表情でひかるに仕事の説明から始めました。
千裕のことなど、考える余裕もないくらい、仕事の量は多くなっていて、こなしていくのは大変でしたが、この方がいいとひかるは仕事に没頭するしかありませんでした。
裕文がひかるの仕事のチェックをしながら、
「ふ~~~ん。短期でかなりこなせてる。多少荒っぽいところはあるものの、間違い個所はなし。
これであがっていいよ。」