元気あげます!
「ええ、かまいませんよ。土曜日は予定はいれていませんし・・・。」
「そう、じゃ、12時にここに来ててくれる?それからいっしょにご飯すませて、会場へ行こう。いいかな。」
「はい。でも、三浦さんって土曜日もお仕事されてるんですね。
吉岡さんは土曜日はしっかり休んでおられるみたいですけど・・・」
「ああ。根本的に吉岡さんと僕とは別の仕事してるからね。
なんていうか、ここって担当者は別個の仕事をやっているから、取引先もそれぞれに請け負ってるし、指示してくる三崎の会社も吉岡さんと僕じゃ違うんだよ。
吉岡さんは三崎信託銀行、僕は証券だから・・・。」
三浦はいい加減な事情を説明して、ひかるを納得させ、土曜日に行なわれる経済界の催しに連れていくことにしました。
((千裕をおどろかせてやる・・・ふふっ))
ひかるは自分の知らないところで、いろんなことが起ころうとしていることを知らないまま、疲れて帰宅し、そして、また学校へと・・・という生活が続きました。
金曜日のお昼休みに、あの松田祐希がひかるを教室に呼びに来ました。
「どうしたの?」
「僕とお弁当いっしょに中庭で食べませんか?」
「いいけど・・・松田君の友達は?」
「僕の友達は食べるのがものすごく速くて、食べ終わるとすぐどこかへ走っていっちゃうんです。
僕はいつも取り残されるから・・・。」
「そうなの。毎日は困るけど、今日ならいいよ。
私といつも食べるコは風邪で早退しちゃったの。風邪流行ってるみたいね。」
祐希は保健室近くで倒れるまでの経緯やふだんの話などをひかるに話しました。
ひかるは、祐希がうれしそうに、はずかしそうに、話しかけてくる様子に、『たわいもない話を誰かにいっぱいきいてほしかったんだね』と思いながらにこやかにきいていました。
キーーーーンコーーーーーーーン・・・・
「あ、ごめんなさい。僕ばっかり話してしまって、先輩の話をきけなくて。
また、次の機会には今度は僕が先輩の話をたくさんききたいです。
よろしくお願いします。」
「あ・・・私のことは気にしなくていいからね。うん、またね。」