恋愛短編小説集


「ため息なんてついてどうした?」

ソファーでうなだれていた私を
お兄ちゃんが優しく除き込んできた

「……うぅん。なんでもない…」

45度に傾けられたココアを、急いで台へと置く

リビングにはブラックコーヒーのほろ苦い香りが
辺り一面包み込んでいる

お兄ちゃんの香り

私はこの匂いが大好きだ

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