恋愛短編小説集
冷たい風と共に
ビターな香りが私の鼻を満たす
お兄ちゃんだ
私の頭に暖かいものが触れた
「……佐奈。新田に何を言われたかは知らないが…俺が彼女をつくらないのはお前のせいじゃない。……佐奈がもし、嫌じゃないなら…もう少しだけお前の側にいさせてくれないか」
嬉しかった…でも返事ができない
クスッ
お兄ちゃんの微笑みが聞こえた
答えなくても…お兄ちゃんには私が思っていることが通じたのだ
返事として…お兄ちゃんは
私の頭を二回撫でてくれた