ルージュの森の魔女
季節が秋から冬に入りアリーナたちが家で冬支度の準備をしている頃、ロゼの隣街ティルバンでは剣士の格好をした3人の若者が街で聞き込み調査を行っていた。


「すまぬが、ここからルージュの森に行くには如何して行けばいい?」

三人の中で青いマントを羽織った青年が露店を出している男性に話しかけた。
急に話しかけられたことに男性は訝しげな表情で振り替える。
――が、次の瞬間これでもかというほど目を見開き、惚けたような表情に変わった。


なぜなら目の前にいた青年が今まで見たことがないくらい美しい容貌をしていたからである。
さらさらと肩にかかる髪は美しいプラチナブロンドで長い睫毛に縁取られた瞳は翡翠の宝石のようなエメラルドグリーンの色をしている。そして、彫刻のように整った目鼻立ちに白く透き通った肌は一見女性に見間違えるほどだった。

男性の穴があくほど自分を見つめる視線に青年は不快感を露にすると、先ほどよりも低い声で再び問い質した。

「だからルージュの森はどこにあると聞いているのだ!さっきの質問を聞いていたのか?」

青年の怒気の混じった声音に、男性は慌て我に帰ると、直ぐに謝った。

「…ぃ、いや、すまんかった!ルージュの森はこの道の先にあるロゼという街を通り抜けた場所にある。…だ、だが本当にお前さんらで行くのか?」

いつの間にか青年の後ろに戻っていた二人の若者も含め、男性は恐る恐る訪ねる。何故なら三人は一応剣士の格好はしているものの、屈強の剣士とは程遠く、10代か20代そこらにしか見えないからだ。

青年は男性の真意に気づきながらもぶっきらぼうに答えた。

「あぁ…、もちろんだ」

「わ、悪いことは言わねぇからあそこだけは止めておけ!あそこは遥か昔から恐ろしい魔女が住んでいるという噂だ。今まで生きてあの森を出た奴は一人もいねぇ…」

その言葉に、青年はニヤリと不敵に微笑む。

「所詮、噂だろう?それに我々はその魔女を探しているのだ。手間を取らせて悪かったな。これは礼だ」

そう言って青年は男性に何枚かの金貨を投げ渡した。 それは、この情報料にしては明らかに多すぎる金額だった。
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