ルージュの森の魔女
ギャアアァァァ……!!
雄叫びとともに全ての魔物は塵と化し消えていく。
「――っひ!…ぎゃあ!」
圧倒的な力に男は逃げようと踵をかえすが、どこからともなく現れた漆黒の刃に肩を切りつけられた。
その衝撃に妖媚珠は手から離れ、地に落ちると同時に粉砕する。
男は一瞬、青ざめたように顔を歪めたが、再び傷口を抑えて逃げようとすると今度は首筋にヒヤリとした冷たい感触があたった。
「それ以上動くと貴方の首が切り落とされますよ」
恐る恐る顔を上げるとそこには冷たい光を宿した銀眼の青年が剣を片手に優雅に微笑んでいる。
「――――っひ!!」
あまりの恐ろしさにひきつった声が男の喉から漏れた。
そこへ、レオドールたちが駆け寄り、周りを取り囲む。
「――いくつか質問をする。貴様の主は誰だ…」
有無を言わさぬ低い声と鋭い眼光が男をさらに恐怖へと落としいれた。
「……ゎ、私の主はネオ様でございますっ…」
「誰だ、そのネオという男は…」
「…そ、そこまではわかりません!ただ私は名前だけしか……ヒッ!」
男はぐっと押された喉に軽く息を飲む。
キラリと喉元で光る剣筋に冷や汗がつつっと頬を伝った。
「嘘をつくとさらに痛い目を見ますよ?」
ルイスがここぞとばかり、秀麗な顔に微笑みを浮かべた。
その表情に男は必死になって懇願する。
「ほ、本当でございます!私は何も知らないのですっ…!!」
その様子に嘘偽りがないことを見抜くとレオドールは軽くルイスに制止をかけた。
「なるほど…わかった。ではもう一つ、貴様らは何故ダークライトを探している……」