オルゴール 〜科学者と未確認生物〜
第三章

我を見失う【科学者】

僕は宇宙へ行くため
準備をした。
資料とカメラと食料。
エイリアンをとっつかまえるまでは地球に帰らないつもりだ。
今日の夜、出発する。
僕はまだ昼間なのにも関わらず家に帰り、ベッドに入った。
そして色々と悩むことがあった。
昨日まではエイリアンなんか馬鹿馬鹿しいと思ってた。でも…
僕はもうエイリアンの存在を信じてる。ニュースに感化されて。ただそれだけ。何の証拠も無いのに。エイリアンを捕まえるまで地球に帰らないとまで決心してしまっている。それは理性の伴わない突発的な発想というものだ。科学者には必要のないもの。子供のような、子供のような感情が芽生えちゃった。夢しかみてない、何の原理にも基づいていない、僕だけの感情に、夢に。僕は夢を追っかけて二度と地球に戻ってこないかもしれない。

僕には科学を極めるのは向いてないのか。
それとも、僕はあまりにも学を愛しすぎたのか。それ故の結果がこれか?いや、それはないだろう。結局は僕も理性の伴わない感情人間。子供のような夢をみる。そしてそれを実行するんだ、今日の夜。
この目でエイリアンをみたい。
観たいんだ。
あぁもう、僕は自分が科学者だということを忘れてしまったのかもしれない。まるで、水族館へ行ってイルカが観たいと泣き叫ぶ子供みたいになってる。


宇宙へ行ってエイリアン観たい!って泣き叫んでも誰も相手にしてくれないだろう。泣き叫んでる人が科学者だったら、なおさら。
僕が今その状態。




僕は、ベッドの中で30分くらい悩んだ。
コンピューターで父と母に伝言を残した。
『宇宙へ行ってくるね。宇宙で醜いものを捕まえて、大金を手にする僕を想像したらいけないよ。僕は、宇宙へ行って少しだけ無重力の実験をして帰るだけだからね(笑)』っと。
ちなみに実際、僕は後者ではない。前者だ。
大金を手にするかどうかは別だが。
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