❀心の色❀ ~スクエア外伝~



 前にもこういう事があった。


 二人で話しをしている時に、



 『そうそう、中学校は国立の名門、盟成学園の中等部を受けなさいね。』



 え?



 『お母さん、私は普通の公立の学校でいい。』



 『それはだめ。うちはお父さんが会社を経営しているでしょう?だから会社の信頼や、信用を深めるためにも絢に名門に入ってもらわないと困るの。それが私達家族の生活を守ることになって、私達の為になる。分かってくれるわよね。やってくれないと困るよ。絢ならできるわよね、分かってくれるわよね。』




 お母さんは、私の気持ちが分からないの?


 それとも、分かってて無理やりさせてるの?


 会社の為、家族の為。


 それが何?


 結局、私の気持ちなんてどうでもいいんでしょ?


 私の為?


 そんなのお母さんがそう思ってるだけ。


 私はただ…。


 普通の生活を送りたいだけなのに。


 絢ならできる、絢なら分かってくれる…。


 私ならできる、なんて思われてるけどできない事だってある。


 大きなプレッシャーとなって、私を襲ってくる。


 それが私にはつらい。




 だけどお母さんを困らせたくない。


 あんな事言われるけど、私のたった一人の母親だから、大切にしたい。


 だからお父さんの為に、会社の為になる事………。



 (盟成学園に入ろう。)



 そう決めた。
 

 


 

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