❀心の色❀ ~スクエア外伝~



 そこにいたのは、私の知らない女性だった。


 お母さんより随分年下の。


 完璧に年下って見た目で分かる位の。


 私の見た事のない人。


 何の用だろう?


 お互い無関係の筈なのに声を掛けられるなんて…。




 『驚かせてしまったようね。御免なさい。知らない人に声を掛けられるなんてびっくりするに決まってるか。』




 『あ…。はぁ…。まぁ…。』




 私は返事にならない返事をした。


 お姉さんは気にせず話を続ける。




 『私があなたに声を掛けたのはもちろん理由があっての事なんだけど、、、。』



 
 『は、はい。何ですか?』



 
 『単刀直入に言うわね。あなたにモデルになってほしいの。いや、なって下さい!!』




 え?


 私は、一瞬思考が停止した。


 だって、だって…。


 モデルなんて一度も考えた事無かったし、まして



  <なりたい!!!!!>



 なんて、、、、ねぇ?


 

 『ねぇ、どうかしら?モデルっていう仕事は確かに忙しいけど、嫌な事を忘れさせてくれるし、見た人を元気にさせられる仕事よ。あなたは綺麗だし、スタイルもいい。そんな暗い顔してないで、もっと笑ってなさいよ。』



 
 『嫌な事を…

  忘れられる…?』



 『ええ、そうよ。あなただけじゃなくて、他にも嫌な事を持っている人は沢山いる。でも、モデルの自然な笑顔で元気になるわ。他の人を幸せにできる仕事よ、モデルは。ちょっと大げさすぎかもしれないけど、元気や、勇気を与えられるわ。』



 
 他の人を、元気に…。

    勇気を与える…。


 
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