本当に愛おしい君の唇
「朝食食べる?」


「うん。確か、このホテルの一階にラウンジがあったわよね?」


「ああ。朝はそこそこ食べるわけ?」


「そうね。あたし、お昼までお腹持たないから」


 直美がそう言ってクローゼットを開け、下着の上から昨日着ていた女性用のスラックスを着る。


 そして髪を整えた。


 整髪には女性用のスタイリングムースを使う。


 彼女は結構お洒落なのだ。


 治登が想像している以上に。


 洗面所でメイクまで済ませてしまってから、治登が淹れていたコーヒーを丸々一杯飲み、


「行きましょ」


 と言った。

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